以前までは、日本の歴史的価値のあるお墓として認識されていた古墳ですが、今では「古墳女子」「墳活」という言葉が生まれるほど人気のスポットになっています。
このブームを良い機会に、日本の古墳巡りを楽しんでみませんか?この記事を読めば、古墳への知識を深めることができ、古墳の魅力をより感じることができますよ。
今回は、古墳とはどんなものなのかについて紹介した後、日本にある古墳の数・種類・特徴を解説していきます。初めて見学する方にもおすすめの古墳を5つ紹介するので、是非最後までご覧ください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1195259?title=五色塚古墳#)
そもそも古墳とは?
「学校の授業で習ったけど…」と古墳について忘れがちな方もいると思うので、まずは古墳がどのようなものかおさらいしましょう。
古墳とは、3世紀中頃から7世紀頃にかけて築かれた墳丘(土や石が積まれた高い塚)を持つお墓であり、豪族など階層の高い者によって築かれたお墓でもあります。
古墳は日本各地に点在しており、鍵穴の形をした「前方後円墳」・円型の「円墳」など形状は様々です。大きさも10m程度の小さいものから400mを超える大きいものまで幅広く存在します。
何となく古墳について思い出してきたところで、次の章からは日本の古墳の数・種類・特徴について紹介していきます。
日本の古墳の数
古墳と聞くと、「規模が大きいから数が少なそう」とイメージしませんか?実は、現代に残っている古墳は約16万基以上あると言われており、何とコンビニの店舗数の約3倍近くに相当します。
コンビニよりも多いとなると、とてつもない数ですよね。ちなみに、古墳・横穴の多い都道府県TOP5は以下のようになります。(下記のデータは「平成28年度 周知の埋蔵文化財包蔵地数」を参照)
- 兵庫県:17,647基
- 鳥取県:12,546基
- 京都府:11,556基
- 岡山県:11,038基
- 千葉県:10,494基
研究者によって見解が異なりますが、「北海道」「青森県」「秋田県」「沖縄県」に関しては、現存する古墳・消滅した古墳が1基も存在しないというデータが出ています。
日本の古墳の種類
続いては、日本の古墳の種類(墳形:古墳の形)について紹介します。多くの方が古墳をイメージするとき、鍵穴の形をした「前方後円墳」が浮かぶのではないでしょうか?
日本の古墳には、前方後円墳以外にも様々な墳形が存在しており、主に以下のようなものが挙げられます。
- 前方後円墳:円形と方形からなる古墳時代を象徴する墳形
- 前方後方墳:前方後円墳の円形部分が方形になった墳形
- 円墳:円形の墳形であり、日本の中の最も多い形状
- 方墳:方形の墳形
上記以外にも、2基の円墳が連結した「双円墳」・八角形の古墳「八角墳」など様々な墳形が存在します。自分の好きな形を探すのも、古墳を見る上での楽しみの1つです。
日本の古墳の特徴
この章では、日本の古墳が持つ特徴について紹介します。日本の墳丘墓(墳丘を持つお墓)である古墳は、主に5つの特徴が挙げられます。
- 前方後円墳・円墳など様々な形が存在する
- 規模・形の両方が権力の大きさを示している
- 墳丘を造ってから埋葬を行っているものが多い
- 周濠(古墳の周り掘られた堀)のあるものが多い
- 葺石(ふきいし)・埴輪(はにわ)などの装飾が施されている
海外にある墳丘墓(ピラミッドなど)と比較すると、日本の古墳には上記のような特徴が多く見られます。
海外の墳丘墓は形が統一されている場合が多く、規模の大きさによって階層的秩序を示している傾向にあります。それに比べ日本の古墳は、埋葬される人の地位や財力によって大きさや形状が異なるのが特徴です。
例えば、大和政権により墓制(墓のつくり方)が敷かれていた古墳時代は、「前方後円墳」が最もランクの高い古墳であったと言われています。
このように時代背景や特徴を意識して見学すると、より古墳の世界を楽しむことができますよ。次の章からは、数ある日本の古墳の中からおすすめの古墳を5つ紹介します。
日本最大の古墳!【大仙陵古墳】
1つ目に紹介するのは、日本最大の大きさを誇る「大仙陵(だいせんりょう)古墳」です。(「仁徳天皇陵(にんとくてんのうりょう)古墳」とも呼ばれる。)
全長約486mにも及ぶ日本最大の前方後円墳であり、「クフ王のピラミッド」「秦の始皇帝陵」と並ぶ「世界3大墳墓」の1つと言われています。
また、周囲には「陪塚(ばいちょう)」と呼ばれる小さな古墳が10基以上も存在し、古墳を囲む周遊路は約2.8kmにも及びます。1周するのに約1時間ほど掛かるスケールの大きさです。
歩きながら全容を確認することはできませんが、堺市役所の21階にある地上80mの展望ロビーから美しい前方後円墳を望むことができます。(入場料無料)
- 住所:大阪府堺市堺区大仙町7
- 電話番号:027-245-6207(大仙公園観光案内所)
- 入場料金:無料(内部見学はなく、外部からの鑑賞がメインとなります。)
- 営業時間:なし
- 公式サイト:なし
完成当時の姿が復元!【保渡田八幡塚古墳】
2つ目に紹介するのは、当時の面影を体感できる前方後円墳「保渡田八幡塚(ほどたはちまんづか)古墳」です。
保渡田八幡塚古墳では、おおよそ1500年前の古墳の姿が復元されており、古墳の周りには約6.,000体もの埴輪(はにわ)が置かれています。
現代の古墳は緑の木々に覆われていますが、それは長い時間を経た姿であり、保渡田八幡塚古墳では古墳が築かれた当時の姿を目にすることができます。
日本には数多くの古墳が存在しますが、当時の姿を見られる古墳はほとんどないので、是非とも見ておきたい古墳の1つです。
- 住所:群馬県高崎市保渡田町2000-1
- 電話番号:027-373-8880(かみつけの里博物館)
- 入場料金:無料
- 営業時間:なし
- 公式サイト:なし
デザイン性が高いオシャレな古墳!【王塚古墳】
3つ目に紹介するのでは、他の古墳とは一線を画す「王塚古墳」です。国の特別史跡に指定されている前方後円墳であり、石室には「石枕」や「灯明台」などが設置されているなど、様々な技巧が垣間見れます。
また、石室の側面には、「赤」「黄」「緑」「黒」「白」の顔料で壁画が描かれているのも特徴の1つです。
尚、壁画保存のため、王塚古墳の公開は春(4月)と秋(10月)の2回となっています。(「王塚装飾古墳館」では、発見当時を再現した実物大の壁画を見学することができます。)
古墳を見学するというよりもアートを鑑賞しているような気分になるので、日本史に詳しくない方でも楽しむことができるおすすめの古墳です。
- 住所:福岡県嘉穂郡桂川町大字寿命376
- 電話番号:0948-65-2900
- 入場料金:大人330円 中高生160円 小学生110円
- 営業時間:9:00〜16:30
- 定休日:月曜日(月曜祝日の場合はその翌日) 12月29日〜1月3日
- 公式サイト:王塚装飾古墳館
日本の多種多様な古墳が存在!【西都原古墳群】
4つ目に紹介するのは、様々な大きさ・墳形が存在し、花の名所としても有名な「西都原(さいとばる)古墳群」です。
西都原台地には、南北約4.2km・東西約2.6kmに渡り300基以上の古墳が点在しており、台地の上からは「円墳」「前方後円墳」「帆立貝式古墳」など様々な古墳を一望できます。
このように楽しめる古墳群は全国でも珍しく、中には内部の様子を見学できる古墳もあります。
古墳の博物館とも言える場所なので、「いろんな古墳を見てみたい」という方には特におすすめです。また、西都原古墳群からすぐにある「考古博物館」では、出土品を見たり触れたりすることができますよ。
盛り土がない?芸術的な岩石の古墳!【石舞台古墳】
最後に紹介するのは、国営飛鳥歴史公園内に位置する方墳「石舞台古墳」です。石舞台古墳は墳丘の盛り土が全く残っておらず、巨大な「横穴式石室」が露呈している独特な姿をしています。
この石室は30個以上の岩石が積み上げられており、総重量は約2,300t・天井石は約77tにも及ぶそうです。
見た目の重厚感にも圧倒されますが、これほどの岩石を積み上げた当時の運搬技術にも驚きを隠せません。
「どのように岩石が積まれたのか」「何故石室が剥き出しになっているのか」など古墳の背景に迫ってみると、より一層楽しく鑑賞できますよ。
- 住所:奈良県高市郡明日香村島庄133
- 電話番号:0744-54-4577(明日香村地域振興公社)
- 入場料金:一般300円 小学生〜高校生100円
- 営業時間:8:30〜17:00
- 公式サイト:国営飛鳥歴史公園
日本の古墳まとめ
今回は、日本の古墳の数や種類、特徴などについて紹介しました。コンビニの3倍近くも存在すると聞いて、少し驚いた方も多いのではないでしょうか。
未だに解明されていないことも多いですが、「どんな人物が埋葬されているのか」「どのようにして築き上げられたのか」など背景を追いながら見学すると、より古墳の魅力に気づくことができるでしょう。
また、この記事でおすすめした5つの古墳は、初めて見学する方にも印象が残りやすい独特な古墳ばかりです。是非足を運んで頂き、古墳の歴史・魅力を感じてみてください。