日本全国には数々の城が存在しますが、国宝に指定されているのは5城のみとなります。
戦国時代の戦や外国との戦争など、数々の危機を乗り越えてきた奇跡的な存在を1度ご覧になってみませんか?
この記事では、1度は見ておきたい国宝5城の特徴や見所、意外と知らない天守の知識について紹介します。城の知識を深めておけば見学もより楽しくなるので、是非最後までご覧ください。
(トップ画像出典:https://unsplash.com/photos/wucxX4SAXFg)
日本の国宝に指定される5つの名城
まずは、現存する城の中で国宝に指定されている5つの名城について紹介します。
タイトルでも紹介したように、国宝に指定されている5つの名城は「国宝5城」と呼ばれており、現存する城の中でも極めて価値が高い城として位置付けられています。
- 姫路城(兵庫県)
- 彦根城(滋賀県)
- 松山城(長野県)
- 犬山城(愛知県)
- 松江城(島根県)
かつては姫路城・彦根城・松山城・犬山城の4つ城を「国宝4城」と呼んでいましたが、2015年に松江城が国宝に指定され、「国宝5城」と呼ばれるようになりました。
次の章からは、国宝5城にあたる名城の詳細・見所について紹介していきます。
日本の国宝5城①姫路城(兵庫県)
兵庫県姫路市にある姫路城は、白く美しい見た目から「白鷺城(しらさぎじょう)」とも呼ばれており、1993年には「法隆寺地域の仏教建造物」と共に日本初の世界文化遺産に登録されました。
5重6階の大天守・3重の小天守からなる「連立式天守閣」は、日本の城の中で最も大きい現存天守です。白漆喰で塗られた城壁・壮大かつ繊細な天守は、姫路城の最大の見所と言っても過言ではないでしょう。
姫路城は、1346年に赤松貞範(あかまつさだのり)によって築城されたとされており、以来13氏・48代が城主を務めてきました。
2009年から約5年半に渡り行われた平成の大修理により、今も尚、美しい輝きを放っています。日本の美の象徴であり、城郭建築の最大傑作とされる姫路城は、必ず見ておきたい名城の1つです。
- 所在地:兵庫県姫路市本町68
- 電話番号:079-222-6050(姫路城管理事務所)
- 観覧時間:9:00〜16:00(閉門:17:00)
- 定休日:12月29日・30日
- 入場料金:大人(18歳以上)1,000円 小人(小・中学生・高校生)300円
- 公式サイト:姫路城
日本の国宝5城②彦根城(滋賀県)
滋賀県彦根市にある「彦根城」は、「金亀山(こんきさん)」という異名を持つ彦根山に建てられていることから、別名「金亀城(こんきじょう)」とも呼ばれています。
かつて滋賀県には、石田三成の居城であった「佐和山城」が存在しており、関ヶ原の戦いの後に徳川四天王の1人・井伊直政が入城しました。しかし、この城が気に入らず、新たな居城の計画を立てたそうです。
ところが、直政は戦の傷が癒えず死去してしまい、家督は井伊直継に継がれました。1604年、徳川家康主導のもとで彦根城の築城が開始され、1606年の天守完成と共に直継が入城したとされています。
彦根城は華美な装飾が施されており、外観の美しさが見所の1つです。また、内部には軍事的要素が取り込まれており、外敵に備えた「急階段」や「鉄砲狭間」なども見所です。
彦根城にある「馬屋」は、他の城郭では見られない貴重な建物であり、国の重要文化財に指定されています。こちらも是非鑑賞してみてください。
- 所在地:滋賀県彦根市金亀町1-1
- 電話番号:0749-22-2742(彦根城管理事務所)
- 観覧時間:8:30〜17:00
- 定休日:年中無休
- 入場料金:一般800円 小・中学生200円
- 公式サイト:彦根城
日本の国宝5城③松本城(長野県)
長野県松本市にある「松本城」は、日本最古とされる5重6階の天守を有する名城です。築城は1504年頃と言われており、松本城と呼ばれる前は、「深志城(ふかしじょう)」と呼ばれていた背景があります。
1582年、武田氏の滅亡や織田信長が討たれたこと(本能寺の変)により、信農の情勢は混乱します。(天正壬午の乱)
これを機に、徳川家康の家臣・小笠原貞慶(おがさはらさだよし)が深志城へ入城し、城の名を「松本城」へと改名したそうです。
松本城の最大の見所は、大天守(だいてんしゅ)・乾小天守(いぬいこてんしゅ)・渡櫓(わたりやぐら)・辰巳附櫓(たつみつけやぐら)・月見櫓(つきみやぐら)で形成された「連結複合式」の天守です。
戦の多い時代に造られた大天守・乾小天守・渡櫓の「連結天守」は、窓が少なく、石落としや鉄砲狭間があるのが特徴です。
尚、平和な時代に増築された月見櫓・辰巳附櫓には軍事的要素が備わっていません。上記の天守と比較してみるのもおすすめです。
- 所在地:長野県松本市丸の内4-1
- 電話番号:0263-32-2902(松本城管理事務所)
- 観覧時間:8:30〜17:00 ※時期により変動あり
- 定休日:12月29日〜31日
- 入場料金:大人700円 小・中学生300円
- 公式サイト:松本城
日本の国宝5城④犬山城(愛知県)
「犬山城」は、愛知県犬山市にある名城であり、別名「白帝城」とも呼ばれています。木曽川沿いに立つ城の佇まいから、中国長江流域にある「白帝城」にちなんで名付けられたそうです。
1537年、織田信長の叔父・織田信康によって築城され、交易・政治・経済の要衝として戦国時代では重要な拠点となりました。一時は、かの有名な豊臣秀吉も入城していたことのある名城です。
明治時代に行われた廃藩置県により、天守以外の建物が取り壊されてしまいましたが、風格のある木造建築の天守は現代においても健在です。
3重4階地下2階の天守は、犬山城の最大の見所であり、築城当初の面影も感じることができます。また、「望楼型」の天守から眺める街並みも見逃せないポイントです。
- 所在地:愛知県犬山市犬山北古券65-2
- 電話番号:0568-61-1711(犬山城管理事務所)
- 観覧時間:9:00〜17:00
- 定休日:12月29日〜31日
- 入場料金:一般550円 小・中学生110円
- 公式サイト:犬山城
日本の国宝5城⑤松江城(島根県)
島根県松江市にある「松江城」は、豊臣秀吉・徳川家康と2人の天下人に仕えた堀尾吉晴によって築城された名城です。
曲線美が美しい三角屋根・黒く塗られた板張りの外観が特徴であり、千鳥が羽を広げた姿に見えることから「千鳥城」とも呼ばれています。
風格のある外観や石垣も見所ですが、狭間・石落とし・隠し部屋などが設けられている戦闘に特化した内部にも注目です。
松江城の5重(厳密には4重5階地下1階)の天守は、現存している城の中で唯一の正統天守(360度見渡せる望楼型天守)であり、天守から眺める景色も絶景です。
- 所在地:島根県松江市殿町1-5
- 電話番号:0852-21-4030(松江城山公園管理事務所)
- 観覧時間:8:30〜18:30(4月1日〜9月30日) 8:30〜17:00(10月1日〜3月31日)
- 定休日:年中無休
- 入場料金:大人680円 小・中学生290円 (外国の方は470円)
- 公式サイト:松江城
意外と知らない城の知識①天守(天守閣)の役割とは?
ここまで国宝5城の特徴や見所について紹介してきました。国宝5城を認識したところで、更に城の知識を深めていきましょう。
まずは国宝5城でも紹介した「天守(天守閣)」の役割について紹介します。天守と聞くと、「殿様が住んでいた場所」とイメージする方が多いのではないでしょうか?
実は、生活の拠点として使われていた例が少なく、主に「物置」や「藩主のお披露目」に使われていたそうです。戦国時代には城主が籠る最後の砦でもありましたが、時代と共に軍事拠点としての役割は無くなりました。
「じゃあ城主は何処に住んでたの?」と思いますが、城内にある「本丸」「二の丸」といった御殿で生活や政務を行っていたとされています。
意外と知らない城の知識②現存天守とは?
あなたは「現存天守」という言葉をご存知でしょうか?現存天守とは、日本の城の天守のうち、江戸時代またはそれ以前に造られた現代にも残る天守のことです。
現在(2020年4月時点)、紹介した国宝5城を含め、12ヶ所の天守が現存しています。どの天守も文化財保護法に基づき、国宝または重要文化財に指定されています。
現存する12ヶ所の天守は「現存12天守」と呼ばれており、城に興味があるのであれば覚えておきたい知識の1つです。
- 弘前城(青森県)
- 松本城(長野県)
- 丸岡城(福井県)
- 犬山城(愛知県)
- 彦根城(滋賀県)
- 姫路城(兵庫県)
- 松江城(島根県)
- 備中松山城(岡山県)
- 丸亀城(香川県)
- 伊予松山城(愛媛県)
- 宇和島城(愛媛県)
- 高知城(高知県)
意外と知らない城の知識③国宝と重要文化財の違いとは?
城や社寺を調べていると、「国宝」や「重要文化財」という言葉を見掛けますよね?貴重な存在であることは分かりますが、「国宝」と「重要文化財」の違いを理解している方はあまり多くないでしょう。
「重要文化財」とは、文化財保護法によって文部科学大臣が指定した重要な有形文化財のことです。平く言えば、歴史・芸術・学術上で価値が高いと判断されたものが重要文化財となります。
この重要文化財の中で、極めて価値の高いものが「国宝」に指定されます。つまり、国宝は重要文化財の1つであり、重要文化財の中で特に貴重なものが国宝であるということです。
意外と国宝と重要文化財の違いを知らない方が多いので、話のタネにもなりますよ。
日本の国宝5城まとめ
今回は、日本の国宝5城について紹介しました。どの城も風格があり、1度は見ておきたいものばかりです。
城によって特徴や歴史的背景が異なるので、他の城と見比べてみるのもおすすめです。見学する前に、城主は誰なのか・どのようにして築城されたのかなど調べておくと、より楽しむことができるでしょう。
歴史と結びつけながら鑑賞することで、城への興味や城に関する知識がより深まります。この記事をきっかけに、日本の歴史について学んでみてはいかがでしょうか?